親が転びやすくなったと感じたら|原因と家庭でできるチェック

介護予防

はじめに

「うちの親、最近よく転ぶようになったな」

そう感じて、この記事にたどり着いたのではないでしょうか。

つまずく。よろける。立ち上がるときにふらつく。今まで何ともなかったのに、気づけばヒヤッとする場面が増えている。

介護老人保健施設で理学療法士をしているタカです。デイケアの現場でも、ご家族から「最近よく転ぶんです」という相談を本当によく受けます。

でも、安心してください。「転びやすくなった」には、ちゃんと原因があります。そして、その多くは家庭で気づけて、家庭で手を打てるものです。

この記事では、転びやすくなる原因と、ご家庭で今日できる簡単なチェックを、やさしくお伝えします。

理学療法士タカタカ
「年のせい」って、つい片づけてしまいがち。でも、ちょっと待ってくださいね。
⚠️ チェックや運動をするときに
ふらつきや痛みがある方は、無理をせず、必ず誰かがそばで支えられる状態で行ってください。気になる症状が続くときは、かかりつけ医に相談しましょう。

なぜ親は転びやすくなるのか

転びやすくなる原因は、大きく分けて3つあります。順番に見ていきましょう。

① 足腰の筋力・バランスが落ちている

いちばん多いのが、これです。足腰の力と、バランスを保つ力の低下。

デイケアの現場で、よく聞く話があります。お仕事を退職されたあと、家であまり動かなくなって、一日テレビの前で過ごす。外に出る用事もだんだん減っていく。そうして気づかないうちに、足腰がすっかり弱ってしまうんです。

すると、どうなるか。歩くときにふらついたり、バランスを崩したときに、とっさに足が出ず、立て直せない。これが、転倒につながりやすくなります。

こわいのは、本人もご家族も「ただ歳をとっただけ」と思いがちなこと。

でも実際は、“動かない生活”が足腰を弱らせている、ということが本当に多いんです。

ここに気づけるかどうかが、大きな分かれ道になります。

理学療法士タカタカ
“年のせい”の裏に、“動かない生活”が隠れていることが多いんですよ。

② 病気や薬の影響

次に、病気や薬の影響です。

血圧のお薬や、眠るためのお薬などで、ふらつきやめまいが出ることがあります。他にも目が見えにくくなっていたり、足の裏の感覚が鈍くなっていることも、転びやすさにつながります。

「最近ふらつくな」と思ったら、飲んでいるお薬について、一度かかりつけ医や薬剤師に相談してみるのも一つの手です。

③ 家の中の環境・履物

そして、意外と見落とされがちなのが、家の中の環境です。

わずかな段差、めくれたカーペット、床に置きっぱなしの電気コード。元気なころは何ともなかった場所が、足腰が弱ると一気に“危険ゾーン”に変わります。

実は私も、家では電気コードに引っかけて「おっと」とよろけることがあります。専門家でもこれですから、油断は禁物です。

とくに見落とされやすいのが、畳の縁(へり)です。

以前、畳のへりにつまずいて転んでしまった高齢の方がいました。たった数ミリの段差です。でも、すり足ぎみになっていると、その数ミリに足が引っかかってしまうんです。

皆さんは、畳の縁を意識したことはありますか。私も正直、気にしたことはありませんでした。

履物も、意外な落とし穴です。かかとのないスリッパは、すり足の足に引っかかりやすいもの。同じ室内履きでも、かかとがあって底が滑りにくいタイプにするだけで、ぐっと安心です。

家庭でできる「転びやすさ」チェック

理学療法士タカタカ
それじゃ、おうちで簡単にできるチェックを見てみましょう。

「うちの親は大丈夫かな?」——ご家庭で見られる、かんたんなチェックを紹介します。次のような様子があれば、足腰が弱ってきているサインかもしれません。

① 歩くとき、足が上がらず“すり足”になっている
② 立ち上がるとき、どこかに手をつかないと立てない
③ 家の中の同じ場所で、よくつまずく
④ 歩くのが遅くなった、歩幅が小さくなった
⑤ 片足で立つと、すぐにふらつく(※必ずそばで支えながら)

⚠️ “片足立ち”チェックは慎重に
チェック⑤を試すときは、転倒に注意。必ずそばで支えられる状態で、短い時間だけにしてください。

いくつか当てはまっても、あわてなくて大丈夫。

気づけたことが、転倒を防ぐ第一歩です。

転びやすくなってきたら、家でできること

家の環境を整える

まずは、すぐにできるところから。段差に気をつける、床の物やコードを片づける、スリッパを“かかとのある滑りにくい室内履き”に替える。夜は、寝室からトイレまでの足元を、小さな明かりで照らしておくと安心です。

足腰を“使う”生活に戻す

そして、いちばんの薬は、やっぱり体を動かすことです。

特別な運動でなくても大丈夫。一緒に買い物に出る、座ってできる体操をする。それだけでも、足腰はちゃんと応えてくれます。

具体的な体操は、こちらでくわしく紹介しています。
自宅でできる高齢者の転倒予防体操

気になったら、専門家に相談を

「これは家だけでは心配だな」と思ったら、抱え込まずに専門家を頼ってください。ケアマネジャーや、私たちのようなリハビリ職が力になります。

何から始めればいいか分からないときは、こちらもどうぞ。
在宅介護が始まったら最初にやること

まとめ|「転びやすさ」は気づけば手を打てる

理学療法士タカタカ
完璧じゃなくて大丈夫。ひとつ気づけたら、それで前進です。

最後に、要点をまとめます。

① 転びやすさの主な原因は「足腰の低下」「病気・薬」「家の環境」の3つ
② とくに退職後など、“動かない生活”で足腰が弱るケースが多い
③ すり足・立ち上がりのふらつき・よくつまずく場所は、見逃せないサイン
④ 家の環境を整え、体を動かす生活に戻すことが大切
⑤ 心配なときは、早めにケアマネジャーやリハビリ職へ

いちばん伝えたいこと
「年のせい」と、あきらめないでください。体を動かす生活と、家の中のちょっとした見直しで、転倒はぐっと減らせます。

転びやすさは、気づいて手を打てば、こわがりすぎなくて大丈夫。この記事が、その一手になればうれしいです。

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