老人ホーム・介護施設の種類と選び方|「まだ先」の人こそ知っておくと安心

サービス・施設選び

はじめに

「施設のことを調べるなんて、まだ早い。うちはまだ在宅で頑張れる」

そう思いながらも、ふと施設のことが気になって、この記事にたどり着いたのではないでしょうか。

理学療法士タカタカ
そのお気持ち、すごくよく分かります。

こんにちは。介護老人保健施設で働く現役理学療法士のタカです。

先に、いちばん大事なことだけお伝えします。施設のことを知っておくのは、家族を見捨てる準備ではありません。むしろ逆で、いざという時に慌てず、今の在宅介護を無理なく続けるための「知っておくと安心な保険」です。

実際、訪問リハで伺っていたお宅で、「まだ先の話ですが」と前置きして、ショートステイの仕組みを紹介したことがあります。すぐに使うためではなく、知っておけば、いざという時にすぐ動けるからです。その後、ご家族に介護の疲れが見え始めたとき、ためらわずにショートステイを利用され、少し楽になられたようでした。先に知っておくだけで、いざという時の動き出しは大きく変わります。

この記事では、施設の種類・選び方・費用の目安を、ざっくり整理してお伝えします。

読み終えたときに「今すぐ決めなくていい」と思えたら、それで十分です。

施設を知っておくと、なぜ気持ちがラクになるのか

在宅介護をしていると、「いつか施設に頼ることになるかもしれない」という不安が、頭の片隅にずっとあるものです。その不安の正体は、実は「施設がどんな場所か知らないこと」だったりします。

私が働く介護老人保健施設は、そもそも「家に帰るための施設」です。リハビリをして、体力を取り戻して、また在宅の暮らしに戻っていく。施設は在宅の対極にあるものではなく、在宅を続けるための味方なんです。

実際、老健には「退院はできるけれど、今の体力では家での生活がまだ不安」という方が、たくさん入所されます。そうした方がリハビリで力を取り戻し、家に帰っていく。自宅で暮らしていた方が、体力が落ちてきたのをきっかけに「3か月」と期間を決めて集中的にリハビリをして、また家に戻っていくこともあります。施設に入って終わり、ではありません。家に帰るために、施設を使う。私はその姿を、現場で何度も見てきました。

ショートステイ(短期入所)も同じです。数日〜数週間だけ施設で過ごしてもらい、その間にご家族が休む。これも「在宅をあきらめる」のではなく、「在宅を長く続けるための休息」です。

つまり、施設は「在宅か施設か」の二択ではなく、在宅を支える選択肢のひとつなんです。ここを知っておくだけで、施設という言葉への身構えは、少し軽くなるはずです。

介護施設の種類をざっくり整理

とはいえ、「特養」「老健」「サ高住」…と名前が並ぶと、何が違うのか分かりにくいですよね。まずはざっくり、種類を整理しておきましょう。

※ここで取り上げるのは「入所して生活する場」です。デイサービスやデイケアのように日中だけ通うサービスは含みません(こちらは別の記事で扱う予定です)。

理学療法士タカタカ
ここからは、施設の種類をざっくり整理していきますね。
要介護度・認知症の有無から施設の候補をたどれる施設選びフローチャート

実はこの8つ、「介護保険が使えるかどうか」で2つのグループに分けると、ぐっと分かりやすくなります(以下の要介護度はすべて目安です)。

グループ1:介護保険の中で完結する施設(費用の多くを保険でまかなえる)

施設 どんな暮らしの場か 目安の要介護度
介護老人保健施設(老健) 在宅復帰を目指してリハビリに取り組む場 要介護1以上
特別養護老人ホーム(特養) 長く生活する場としての入所 原則、要介護3以上
介護医療院 医療的なケアと生活の両方が必要な方の長期療養の場 要介護1以上
グループホーム 認知症の方が家庭的な環境で少人数で暮らす 要支援2以上・認知症の診断が目安
ショートステイ 数日〜数週間の短期入所 要支援1以上

グループ2:住まいが基本で、介護は状況に応じて付け足す施設(タイプによって保険適用が分かれる)

施設 どんな暮らしの場か 目安の要介護度
有料老人ホーム 費用に応じて手厚いケアも選べる民間の施設。「介護付き」は保険内、「住宅型・健康型」は保険外で外部サービスを利用 施設によって幅広い
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 見守りが付いた賃貸住宅に近い暮らし。多くは保険外で、介護が必要なら訪問介護などを別途契約 自立〜軽い要介護
軽費老人ホーム(ケアハウス) 比較的低い費用で暮らせる住まい。一般型は保険外、介護型は保険内 自立〜要介護2程度(施設により異なる)

数字はあくまで目安です。実際の入所条件は施設ごとに幅があり、地域によっても運用が違います。「うちはどのあたりか」は、後述のケアマネージャーへの相談で確認するのがいちばん確実です。

わが家に合う施設の選び方(4つの軸)

種類が分かったところで、次は「どう選ぶか」です。現場で見ていると、迷ったときに考えるといいのは、この4つの軸です。

要介護度:今の状態で入れる施設は限られます。まずここが土台になります。
認知症の有無:認知症の症状が強い場合、少人数で家庭的なグループホームが合うことも多いです。
費用:月々の費用はいくらか?無理のない金額から逆算すると選びやすくなります。
家に帰りたいか、ここで暮らしたいか:リハビリして家に帰ることを目指すのか、長く安心して暮らせる場所を探しているのか。目的によって候補は変わります。

4つとも完璧に当てはまる施設は、なかなかありません。優先順位をつけて、譲れない軸から絞っていくのがコツです。

理学療法士タカタカ
実は現場でも、ここでつまずくご家族をよく見かけます。

そしてもうひとつ、後悔を防ぐために大事なことがあります。本人抜きで、施設を決めてしまわないことです。本人が納得しないまま入所すると、不満がたまる原因になります。できる限り本人も交えて選んでください。見学も、行ける状態なら一緒に。自分の目で見て選んだ場所なら、納得感がまるで違います。

💡 タカのワンポイント
見学するなら、食事の時間帯に訪ねるのがおすすめです。職員さんの雰囲気や、入居者どうしの様子がいちばんよく分かります。
見学でどこを見て、誰に何を聞けばいいかは、老人ホーム見学のポイントにまとめています。

費用のざっくり目安

気になる費用も、ざっくりお伝えします。さきほどの2つのグループ、費用の中身もこの分け方のとおりです(以下はすべて目安の金額です)。

グループ1(介護保険の中で完結):費用の多くは保険でまかなわれ、自己負担は所得に応じて1〜3割ですみます。居住費・食費は別途かかりますが、低所得の方向けに負担を抑える制度(負担限度額認定)もあります。

施設 費用の目安
老健・特養・介護医療院 月8万〜15万円程度(介護サービス費の自己負担+居住費・食費。所得や部屋タイプにより変動)
グループホーム 月12万〜18万円程度(家賃・食費・介護サービス費を含む。初期費用0〜20万円程度)
ショートステイ 1日6,000円〜1万円程度(介護サービス費の自己負担+滞在費・食費。要介護度・部屋タイプにより変動)

グループ2(住まいが基本・タイプにより保険適用が変わる):保険外の場合は家賃・管理費として全額自己負担になります。

施設 費用の目安
有料老人ホーム 入居金0円〜数百万円+月15万〜30万円程度
サ高住 月10万〜20万円程度(家賃・管理費が中心。介護サービスは別途)
軽費老人ホーム(ケアハウス) 月6万〜20万円程度(一般型は住居費が中心。介護型は介護保険の対象)

数字はあくまで目安です。地域や施設、所得によって大きく変わるので、必ず個別に確認してください。

迷ったら、ひとりで決めない

ここまで読んで、「うちに合うのはどれだろう」と考え始めた方もいるかもしれません。でも、ここから先をひとりで決める必要はありません。

担当のケアマネージャー、まだいない場合は地域包括支援センターに相談すれば、今の要介護度や状況に合わせて、候補になる施設を一緒に探してくれます。気になる施設が見つかったら、資料請求や見学で、実際の雰囲気を確かめてから決めても遅くありません。

介護疲れを感じているなら、決める前に一度立ち止まって「その腰痛や不眠は介護疲れのサインかも|体を守る対策5選」を見てみてください。在宅介護を始めたばかりの方は、「在宅介護が始まったら最初にやること」もあわせてどうぞ。

まとめ

理学療法士タカタカ
今すぐ決めなくて大丈夫。知っておくだけで、じゅうぶんです。

施設のことを、ざっくり整理してお伝えしました。

1. 施設は、在宅をあきらめるための選択肢ではなく、在宅を続けるための選択肢のひとつです
2. 種類は、老健・特養・介護医療院・有料老人ホーム・サ高住・グループホーム・ショートステイ・軽費老人ホーム
3. 選ぶときの軸は、要介護度・認知症の有無・費用・家に帰りたいかどうか
4. 費用は「介護保険が使えるかどうか」で中身が変わり、施設によっても幅があるので、必ず個別に確認を
5. 迷ったら、ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談すれば大丈夫です

いちばん伝えたいこと
今すぐ決めなくていい。知っておくだけで、いざという時にきっと役立ちます。

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